計測器の精度保持と校正の必要性
計測器は使用しているうちに数値がずれてくるため定期的な校正が求められます。校正されていない機器の使用は製品の品質だけでなく日常生活を送る上で安全や安心にも影響します。例えば毎日使用する電気やガスの使用量を計測する機器が正確でなければ、請求額の信頼性を保つことが難しくなりますし、研究・開発に使用する数値がずれると再現性が失われます。こうした数値のずれを防ぐことで様々なトラブルを防ぎ信頼性を保つのが校正で、基準となる重りとして分銅を使用して数値のずれを解消します。もちろん分銅にもホコリや水分が付着すると重くなりますしキズがつくと軽くなりますが、こうした分銅にも基準となる重りがあるので、その精度を保つことで国内外における様々な分野で品質と信頼性を維持できるのです。
品質と信頼の必要性から見た精度保持
トレーサビリティとは追跡可能であることを意味しており様々な分野で使用されています。計測器においては切れ目のない比較の連鎖で関連付けられるということであり、最終的には国家標準や国際標準にまで追跡できるということです。測定機の精度と正確性を担保できなければ、製品の品質だけでなく企業の信頼性をも損なうことになりますし、実社会においてはそれぞれが仕事をする上で、また日常生活を送る上で大きな影響を及ぼします。一般的に機器の校正を依頼した際に精度を証明するために発行される書類に校正証明書と試験成績書、さらにトレーサビリティ体系図があります。この3つがそろっていれば国家標準や国際標準に対してトレーサブルであることの証となり、校正データや測定値の精度、正確性を担保できるといえます。
基準器の精度を裏付けるトレーサビリティ
先述した3つの書類は専門業者に校正を依頼した際に、校正によって得た結果が有効であることを証明した書類です。校正証明書は校正をおこなった日やメーカー名、検査結果が記されており、体系図とは校正に使用する分銅が基準器であることを表します。最上位までいくと国家標準や国際標準にまでたどりつくことができるように構成されています。試験成績表は機器の校正に使用する基準器の有効期限を記した書類です。基準器の校正日が計測器の校正日よりも前であり有効期限内であれば信頼できるということになります。つまりトレーサビリティの必要性は校正に使用された基準器の精度を可能な限り裏付けることによって、計測機器の精度を証明することにあるのです。